対談

2010.06.01

庄野真代さん歌手

第1回 動くことによって、道は開ける。
    自分にできることをまずやってみます。

庄野
はじめまして。今日はよろしくお願いします。
潮田
こちらこそ、よろしくお願いします。庄野さんからは、すごく前向きで、行動力があるイメージを受けるんですが、実際はどうなんです か?
庄野
友人にはよく「思い立った瞬間に行動を起こしている」って言われます。(笑)もちろん、何かアクションを起こすときは、自分なりに深く考えますし、悩むことも多々あります。でも、悩みながら自然に「まずはトライしてみないと!」という考えにシフトしているんです。“やらないことで後悔するより、やったほうがいい”と思うんですね。実際にアクションを起こしてその結果、失敗したり傷ついたりすることがあっても、その過程で経験したことは自分の血となり肉となるのでは? と信じています。
潮田
それは大切なことですよ。行動が次の行動を生んで、それが続いて自分の本心があぶりだされるんです。
やりたいと思う気持ちが大切なんですね。そして“それをやっていいよ”と自分に許可するのは勇気もいることですよね。準備が整うのを 待っていたら、いつまでも先へ進めない。意欲が湧きあがったら、行動を起こしましょう。(笑)
庄野
実際、何か思いつくと同時に走り出しているんですよ。(笑)走りながら前に分かれ道が見えてくると、どちらに進もうか考える。人間って、ひとつアクションを起こすと、それが引き金になって、次々と新しい発想や、新しい展開が生まれますよね。
まずは、行動! が私の基本ですね。

自分の歌を「作品」として残したい
強い思いが私を突き動かして…。

潮田
庄野さんの“核”ともいえる歌手になったきっかけの“行動”というのはあるのですか?
庄野
大好きでただ歌っていたアマチュア時代、歌うことで食べていたセミプロ時代…。自分の中に葛藤があったんですね、このままでいいのか? という…。ぬるま湯につかっているような状態は、自分としては納得がいかなくて…。それでもう「歌うこと」を仕事にするのは諦めようと思って…。
でも、今まで自分で努力してきたことを、きちんと自分の中で評価してあげたいなという気持ちが芽生えてきたんです。
そうして決心したのは「1年間、たくさんのコンテストを受けて、自分が歌をやったという“証”をきちんと残そうと」。完全燃焼してからやめようということでした。
潮田
人間って、背水の陣で挑むと、潜在的なパワーが出る。よくいう“バカ力”だせるんですよ(笑)。
庄野
まず、フォーク音楽祭を受けて地方予選を通過して東京の本選に進みました。グランプリは獲れなかったのですが、あるレコード会社の人に「アルバムを一枚つくりませんか?」って、声をかけていただいたんです。きっとその言葉が「デビューしませんか?」というものだったら、今の私はここにいないと思います。
デビューという言葉より作品として自分の歩んできた道を残せる「アルバムを作る」というお誘いのほうが、私の心にダイレクトに響いたんです。私が歌うこと、そのためにしてきたことを形に残せる…そんな思いからのことでした。

プロとしての責任が芽生え、
同時に覚悟が生まれました。

潮田
行動したら、道が開けたんですね。多くの人は失敗が怖くて、行動に移せない。でも行動を起こしていくと、結果として思い通りの結果が得られることが多いんです。
庄野さんはいい意味で貪欲だと思います。とても自分の思いを大切にしている。だからこそ、自分への信頼の上に立って行動が起こせる。
庄野
実際にレコーディングを始めて、新しい道を歩き出すと、周りのことがいろいろ見えてきました。私が一枚のアルバムを作る裏には、制作の方や宣伝の方など様々な方が真剣に動いてくれている。それを感じた時、これは自分のためでもあるけれど、責任のあることなのだということがわかったんですね。それに気づいてしまうと、もう生半可な気持ちじゃ歌えない…。今まで以上に、心をこめて、自分と対峙して作品を生み出しました。
潮田
何かをしたいと思って動き出すと、次の道が見えてくる、その道を進んでいくと、また違う課題や新しい考えが生まれる。経験にプラスマイナスというのはないんです。どんなものも、その人の糧になると思います。