対談

2010.08.05

庄野真代さん歌手

第3回 歌う意味が見つけられずに彷徨っていたとき
    リスナーの方に「好きな人に会いたくなった」と言われて…。

庄野
顔に大けがを負ってから、その後の10年はいろいろなことに挑戦しました。歌手としての活動だけでなくて、日本で大学に通ったり、英国の大学に留学したり…NPO法人の活動をしたり。
潮田
行動の人ですよね、庄野さんは。私たちの求めている「答え」は、実はいつも自分の中にあるのです。自分が過去に行ってきたことの中に、行動の源や答えがあるということです。
庄野
今までも言ってきましたが、私は考えるより先に動いているという…。
潮田
それは、自分の内部からのエネルギーに「動かされている」ということもあるんですね。大切なのは、その時の自分を信じて受け入れること。そうすると道が開けることが多いですね。
自分を信じて行動すれば、その結果は自分の引き出しとなるんですね、生きる上での。トライしたことが、一見失敗に見えても、それはその人の経験として蓄積されます。
庄野
その感覚はわかります。無駄なことってないのだと。いろいろな経験が自分を形づくっているのだという。
潮田
大切なのははじめの一歩。未知の世界へ踏み込む勇気も時には必要です。同時にぶれない自分も大切ですね。
庄野
私の場合「歌手」であるというのが、一番の核なのですが、その「歌う」ことに自信が持てない時期ってあったんです。何のために歌うのか? 毎日毎日悩んで…。そんな時に、コンサートが終わった楽屋にファンの方が訪ねて来てくださって…「庄野さんの歌と聴いていたら、好きな人に会いたくなった」って言われて…。
「そうだ! このために歌っているんだ」って思って。歌って、人の素直な心に響いて動かす力があるのだなって。
潮田
庄野さんは自分で積極的に答えを見つけていく能力があるんです。そして楽観的。悲観的な行動がとれないんです(笑)。高い志を持っている人だから、その志を実現させるために行動を起こす人です。
幸い日本は長寿の国です。ゆっくり経験を積んでいけばいいと思います。庄野さんをみていて、元気をもらう人も多いと思います。そんな人のためにも、経験を積まないと(笑)。
庄野
福祉訪問コンサートで知り合う人に、うつ病の相談を受けることがあるんです。そんな人には「がんばり過ぎない、甘えてみては?」ってアドバイスしています。
潮田
庄野さん自身が愛情をいっぱい持った人だから、励まされる人は多いですよ。自己犠牲では人を愛せない。自分を愛するということは、良いことも悪いことも受け止めること。そして、自分を責めないで、認めてあげることです。
それには、庄野さんのようにパワフルな「楽観的」感覚が大切です。
庄野
確かに…悩みに悩んでも最終的にはポジティブになっている。(笑)。子供の頃に見たアニメの「少女ポリアンナ」というのがあって、それはどんな逆境も逆手にとってポジティブに捉えてしまう主人公の話で…そのストーリーが大好きだったのですが、今思うと私も「ポリアンナ」のようだなと…。
これからも自分にできることで、社会とかかわっていきたいですね。